「新卒採用」と「第二新卒」。
どちらも採用市場で頻繁に聞かれるワードですが、実際にその違いや使い分けについて明確に理解している人は少ないかもしれません。
新卒採用は多くの企業が春に一斉に行う一括採用を指し、一方の第二新卒は一度社会に出た若手層を対象とした採用枠。
近年では、通年採用の導入や若手人材不足を背景に、企業が両方の層を戦略的に狙うケースも増えてきています。
本記事では、「新卒」と「第二新卒」の定義やそれぞれの特徴、企業・求職者にとってのメリット、採用成功のためのポイントまでをわかりやすく解説します。
1 新卒採用とは?基本と特徴を整理
新卒採用とは、大学や専門学校などを卒業したばかりの学生を対象とする採用制度のことを指します。
日本の採用文化においては、卒業後1年以内の既卒も新卒枠として扱われることがあります。
新卒採用の特徴
- 春入社を前提とした「一括採用」が主流
- 長期育成前提のポテンシャル採用
- インターンシップや説明会を通じた企業理解→エントリー→複数回の面接という流れ
- 採用にかける予算が大きく、選考期間も比較的長い
企業側は、学生のポテンシャルや価値観、将来性を重視して採用を行い、数年かけて育成することを前提としています。
2 第二新卒とは?期間・対象・特徴
第二新卒とは、一般的に新卒入社後1~3年以内に退職し、再度転職を目指す若手社会人を指します。
社会人経験はあるものの、ビジネススキルや業務習熟度が中堅社員には及ばない“未経験と即戦力の中間”に位置する人材です。
第二新卒の特徴
- ビジネスマナーや社会人経験がある
- 新卒に比べて選考スピードが早く、柔軟な採用が可能
- 企業文化・職種とのミスマッチから転職するケースが多い
- 未経験職種への転職も比較的しやすい
第二新卒はキャリアチェンジがしやすく、若さと柔軟性が武器なことから、再スタートを切りたい若手層と、育成余地のある人材を求める企業とのニーズが合致しやすいのが特徴です。
3 新卒と第二新卒、採用側にとっての違いとは?
企業が若手人材を採用する際、新卒と第二新卒のどちらに注力するべきか迷うこともあるのではないでしょうか。
両者ともに若手層でありながら、経験値や育成コスト、採用フロー、定着のしやすさなど、採用側にとっての向き合い方は大きく異なります。
ここでは、新卒採用と第二新卒採用の違いを、「採用目的」「選考設計」「面接の評価軸」「育成・定着コスト」の4つの視点から整理し、企業の採用戦略における比較と活用ポイントを解説します。
採用目的
育成コストの違い
新卒採用は長期的な育成前提であり、1年目からの即戦力化は重視されにくい一方、第二新卒はある程度の即戦力性や社内適応力を期待されます。
教育コストを抑えられる分、育成フェーズも短くなる傾向にあります。
選考設計
応募チャネルの違い
新卒採用はリクナビ・マイナビなどの就活プラットフォームを中心とした広く集める戦略。
対して第二新卒は、転職サイト、ダイレクトスカウト、SNS、エージェント経由など多様なチャネルを活用し、より選抜型の採用が可能です。
面接の評価軸
「ポテンシャル」VS「リアル経験」
新卒にはポテンシャルや思考性を、第二新卒には入社後の学びやビジネス経験、離職理由などリアルな経験への理解と自己分析の深さが求められます。
育成・定着コスト
離職リスクと育成期間の比較
新卒は「社会人としての適応」そのものが課題となるため、最初の1年での離職リスクが高く、丁寧なオンボーディングが必要。
第二新卒は一度社会に出た経験がある分、環境がマッチすれば早期離職のリスクは低くなる傾向があります。
4 第二新卒のメリット・企業が採用する理由
- 基本的なビジネスマナーや社内コミュニケーションスキルを持っている
- 未経験でもポテンシャルが高く、柔軟な教育が可能
- 仕事に対する姿勢やキャリアの方向性が定まりつつあるため、ミスマッチが少ない
- 新卒より短期間で戦力化でき、将来的にはリーダー候補に育てられる可能性も高い
第二新卒は新卒のようにゼロからではない」中途ほど固まっていないバランスのよさが評価され、企業の若手層補強やカルチャーフィット重視の採用において重宝されています。
5 【採用担当者向け】第二新卒採用の成功ポイント
近年、第二新卒層を積極的に採用する企業が増えています。
社会人経験を持ちながらも若手特有の柔軟性を備えた第二新卒は、「ポテンシャルと即戦力のバランスがとれた人材」として注目されています。
しかし、中途採用と同じ設計で選考を進めてしまうと、ミスマッチが起きやすいのも事実。
第二新卒ならではの背景や動機を理解したうえで、適切なアプローチを取ることが、採用成功のカギとなります。
この章では「選考設計の注意点」「魅力付けのタイミング」「チャネルの使い分け」「自社との相性判断」で、採用担当者が押さえておくべき成功ポイントを網羅的に解説します。
選考設計の注意点
中途採用と混同しない選考設計
第二新卒は中途採用枠で募集することが多いものの、「経験豊富な中堅人材」としての即戦力を求めるとミスマッチが起こりやすくなります。
評価基準としては、社会人経験の浅さを前提に、ポテンシャルや吸収力を重視した柔軟な設計が求められます。
書類選考や面接での評価軸は、スキルよりも「どのような理由で転職を決意したか」「前職でどんな課題に向き合い、どう行動したか」といったエピソードベースで確認するのが効果的です。
魅力付けのタイミング
「やり直したい層」に響く言葉
第二新卒は「最初の就職先ではうまくいかなかったが、次こそは…」というモチベーションを持っている人が多い傾向があります。
そのため、採用広報や面接初期の段階で「第二新卒歓迎」「一度社会に出たからこそ見える景色を活かしてほしい」といった前向きなメッセージを届けることで、志望度を高めやすくなります。
特に、“やり直したい層”に対しては「リスタートできる環境である」ことを示す企業文化や制度設計の可視化が有効です。
チャネルの使い分け
応募チャネル選び(スカウト・エージェント・SNS等)
第二新卒採用においては、転職サイトやエージェントに加えて、スカウト型サービス(例:YOUTRUST、OfferBox)やSNS(Twitter、LinkedInなど)も効果的なチャネルになります。
受け身の採用だけではリーチできない「意欲はあるがまだ動けていない層」へもアプローチできるため、チャネルの多様化と自社の魅力の言語化がセットで求められます。
自社との相性判断
自社が「第二新卒に向いているか」を見極める観点
以下のような条件を満たしている企業は、第二新卒の受け入れに向いている傾向があります。
- 教育体制がある(OJTやメンター制度など)
- キャリアパスが複数設計されている
- 若手に裁量を与える文化がある
- 離職理由に共感できる柔軟性を持つ
逆に、習得までに長期間かかる専門性の高い職種や、「即戦力でなければ困る」という職場環境ではミスマッチが起きやすくなるため、あらかじめ受け入れ体制の確認をしておくことが大切です。
6 【求職者向け】第二新卒として転職する際の注意点
「思っていた仕事と違った」「社風がどうしても合わなかった」
そんな理由で早期離職を選んだ第二新卒の方は少なくありません。
ですが、短期間での退職はネガティブに捉えられるのでは…と、不安を抱えて転職活動に踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
実際、第二新卒の採用に前向きな企業は年々増えており、未経験職種へのチャレンジやキャリアの方向転換も十分に可能です。
ただし、社会人としての最低限の振る舞いや、キャリアの棚卸し、自己理解は必須。企業側も「前回の失敗をどう活かそうとしているか」を見極めようとしています。
この章では、第二新卒として転職する際に押さえておきたい注意点と、企業が見ているポイント、そして成功のための具体的な準備方法などについて、丁寧に解説します。
なぜ早期離職したかを説明できるか
第二新卒の面接でほぼ確実に聞かれるのが、「なぜ前職を短期間で辞めたのか?」という質問です。
これは単なる離職理由の確認ではなく、「自己分析ができているか」「他責思考ではないか」「改善意欲があるか」を判断するための問いでもあります。
重要なのは、辞めた理由を他人や会社のせいにせず、自分の経験をどう振り返り、何を学んだかを前向きに伝えること。たとえば、
【例】
営業職として顧客折衝をしたいと思って入社したが、実際には内勤業務が中心で、自分のやりたい方向性とギャップを感じた。現在はその経験を活かし、よりお客様と接する仕事に挑戦したいと考えている。
企業は、「過去に何があったか」よりも、「それをどう捉えて今後に活かそうとしているか」に注目しています。
正直に、でも前向きに語れるよう、あらかじめ準備しておきましょう。
未経験転職でも期待される“社会人力”とは?
第二新卒は未経験職への転職も可能ですが、「社会人としての基本スキル」は前提として期待されます。
つまり、入社して一からビジネスマナーを教え直す必要があるような人材は、選考で不利になる可能性があります。
企業が第二新卒に求める“社会人力”の一例としては…
- 時間厳守(遅刻やドタキャンがない)
- 報連相ができる(ほうれんそう=報告・連絡・相談)
- 指示を素直に聞いて行動できる
- メールやチャットのマナーが備わっている
- ビジネスにふさわしい言葉遣いや態度
これらは特別なスキルではありませんが、日々の習慣や意識で差が出る部分です。
転職活動の面接でも、やりとりの中でこうした基本スキルは見られているため、改めて自分の行動を見直しておくことが大切です。
第二新卒歓迎企業の見つけ方と見極め方
求人票で「第二新卒歓迎」「未経験OK」と書かれている企業は増えていますが、表面上の言葉だけで判断するのは危険です。
ミスマッチを防ぐためにも、企業の実態を多角的にチェックする視点が必要です。
- 採用ページや社員インタビューで「若手の活躍事例」が紹介されているか
- 入社後の教育・研修制度が明記されているか
- 年齢の近い社員が多いか(20代が多い職場か)
- キャリアステップが明示されているか
- OpenWorkや転職会議などのクチコミサイトで評価が安定しているか
また、OB・OG訪問を活用して、リアルな声を聞いてみるのもおすすめです。
企業によっては、若手育成に積極的な育てる前提の組織文化がある一方で、若手でも即戦力を求める社風の場合もあります。
自分の成長フェーズに合った企業を選びましょう。
キャリアの棚卸しと志望動機の再構築
転職を成功させるには、「なぜこの会社に入りたいのか」「そこで何を実現したいのか」を明確に語れることが不可欠です。
そのために必要なのが、自分自身のキャリアを見つめ直す“棚卸し”の作業です。
・前職で得たスキルや、うまくいった業務経験
・反省点や、次の職場ではどう活かしたいか
・自分がやりたいこと(Will)、できること(Can)、求められること(Need)の整理
・志望企業との接点や共通点の明文化
たとえば、「お客様に感謝された瞬間にやりがいを感じた」→「だからカスタマーサポート職に挑戦したい」など、具体的なエピソードをもとに志望動機を構築できると説得力が増します。
履歴書や面接で「またすぐ辞めてしまうのでは?」という懸念を払拭するためにも、自分の言葉で熱意と論理を伝えられる準備が大切です。
7 新卒採用と第二新卒、両方を活かす“採用戦略”とは
新卒採用と第二新卒採用は、それぞれ異なる特徴やメリットを持つ採用手法です。
しかし、片方だけに偏るのではなく両方をバランスよく取り入れることで、企業はより柔軟で持続可能な組織づくりを実現できます。
新卒は長期的な育成を前提にした未来の柱であり、第二新卒は一定の社会人経験を活かしつつ早期に活躍が期待できる即戦力寄りの若手。
この2つを組み合わせることで、現場のリソース補強と経営の中長期的人材投資の両立が可能になります。
ここでは、両者をどのように組み合わせて採用・育成戦略に落とし込むか、その具体的な考え方や実践ポイントを解説します。
通年採用・早期戦力化・柔軟な組織構築への流れ
採用の年間スケジュールを一括採用から通年採用へ移行することで、第二新卒などの転職希望者とも出会いやすくなり、「育成」「即戦力」「再チャレンジ」など、多様な目的に応じた人材獲得が実現します。
両者をうまく融合する“人的資本経営”の視点
人的資本経営が注目される今、「何年働いているか」ではなく「どれだけ早く価値を発揮できるか」「どう育成し活用できるか」に目が向けられています。
新卒も第二新卒も、将来のコア人材候補として戦略的に位置付ける必要があります。
採用ブランディング・育成設計の再構築がカギ
どちらの層に対しても、自社の魅力を分かりやすく伝え、入社後の育成ビジョンを具体的に描いて提示できることが、採用成功のポイントです。
「一緒に成長できる環境」を打ち出せる企業は、若手人材からの共感を得やすくなります。
まとめ 新卒も第二新卒も“育成視点”が成功のカギ
採用は「今できること」ではなく「これからどう成長できるか」を見る時代です。
新卒・第二新卒いずれにおいても、企業側が育てる覚悟と環境設計を整えておくことが重要です。
求職者にとっても、早期離職を乗り越えて前向きに再出発しようとする姿勢は十分に評価される要素になります。
必要なのは“正直さ”と“誠実なキャリアの組み立て直し”です。
採用担当者は「受け皿を整えること」、求職者は「自分の伸びしろを伝えること」。
その両者が噛み合うとき、はじめて“定着と活躍”が見込める成功採用が実現するのです。
エイトリンクの採用情報
Webマーケティング力が強みのエイトリンク株式会社は、商談からの成約率が70%以上という実績を持つIT企業です。
当社では、営業部で働く人材を新卒採用・中途採用ともに大募集しています。
教育制度の充実と稼げる環境がこの会社で働く魅力です。
エイトリンク営業部のインセンティブ取得率は100%です。すべての営業スタッフが成果を出し、インセンティブを確実に獲得しており、個々の努力がしっかりと報われている「稼げる環境」といえます。
さらに、飛び込み営業がないこと、Web面接が可能であること、どの支社も主要駅から徒歩圏内であること、産休・育休等の福利厚生が充実していることなど、働きやすい環境が整っています。
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面接は対面とオンラインの2通りあり、エントリー者の希望に合わせて実施しています。